高知県網膜色素変性症協会は、患者さん及びご家族の方々のQOL(生活の質)の向上を目指して活動をしています!
網膜色素変性症は、目の内側にある網膜に異常をきたす遺伝性、進行性の病気です。
目に入ってきた光や色は、網膜で神経の信号に変えられ、その信号が視神経によって脳へ伝わり、私たちはものを見ることができます。
網膜色素変性症では、網膜の視細胞という細胞が最初に障害されます。
視細胞には、①主に暗いところでの物の見え方や視野の広さなどに関係した働きをする「杆体(かんたい)細胞」と、②網膜の中心部(「黄斑」に多く分布して、主に中心の視力や色覚などに関係する「錐体(すいたい)細胞」の2つの種類の細胞があります。
網膜色素変性症では、②の杆体が主に障害されることが多く、このために暗いところで物が見えにくくなったり(夜盲)、視野が狭くなったりするような症状を最初に起こしてきます。
そして病気の進行とともに視力が低下してきます。
最も一般的な初発症状は暗いところでの見え方が悪くなること(夜盲)ですが、生活の環境によっては気がつきにくいことも多いようです。
最初に、視野が狭くなっていること(視野狭窄)に気がつくこともあります。ひとにぶつかりやすくなる、あるいは車の運転で支障がでるといったことが気づくきっかけになります。
視力の低下や色覚異常は、さらにあとから出てくるのが典型的です。しかし、コントラストの低い印刷物や罫線が読みづらいことを早くから自覚していることもあります。
日常の生活環境でまぶしく感じる(羞明)、あるいは全体が白っぽく感じることもあります。
この病気は原則として進行性ですが、その進行の早さには極めて個人差があります。
30代でかなり視機能が低下する方もいれば、70歳でも1.0の良好な視力の方もいます。
長い経過の後に字が読みにくい状態になる方は多いですが、暗黒になる方はむしろあまり多くありません。
この個人差はこの病気の原因となっている遺伝子異常が非常に多彩であるため、一人一人が異なった遺伝子異常であることに由来するのかもしれません。
したがって、同じ病名であるからと言って、同じ症状や重症度、進行度を示すわけではないことを十分に理解しておいて下さい。
その上で自分の病気の進行度や重症度を専門医に診断してもらうとよいでしょう。
網膜色素変性症の頻度は通常4,000人から8,000人に一人と言われています。
網膜色素変性症は遺伝子の変化でおこる病気ですが、実際には明らかに遺伝が認められる患者さんは全体の一部分で、あとの大部分では親族に誰も同じ病気の方がいないのです。
遺伝子に関わる病気と聞くと、家族への遺伝が心配になりますが、まだまだ原因遺伝子のわからない網膜色素変性症も多く、必ず遺伝するという病気ではありません。