国土交通省は4月26日、水害発生時のリスクや避難方法などの情報を図示する「ハザードマップ」について、障害者に伝わりやすいものに改めるための検討会報告を公表した。
目の不自由な人にも伝わるよう、国土地理院のウェブ地図「重ねるハザードマップ」に音声での読み上げ機能を追加する。今夏にも完成させて、自治体に活用を促す考えだ。
重ねるハザードマップは洪水、土砂災害、高潮など複数の災害について、全国どこでも一つの地図上に重ねて表示するもの。改良後は住所を入力したり、現在地ボタンを操作したりすれば、その場所の災害リスクや災害時にとるべき行動がテキストで表示される。テキストは音声に変換できる。
他にも「触地図」「3Dマップ」やスマートフォンのGPS機能を活用した「チャットボット型ハザードマップ」を検討会の試行版として紹介した。
また、検討会は平時から住民がハザードマップについて自治体のウェブ上で学習することも重要だと判断。「水害を知る」「リスクを知る」「対応を知る」の3点について、全国共通で記載すべきこと、その地域特性に応じて記載すべきことの例を挙げた。
2015年の水防法改正により、市町村は避難方法を住民に周知するハザードマップを作ることが義務化され、マップ作りは進んだ。しかし、その内容が分かりにくかったり、視覚障害者に伝わらなかったりする例があるという。
そこで国交省は22年12月、「ハザードマップのユニバーサルデザインに関する検討会」(座長=田村圭子・新潟大教授)を発足。視覚障害者や自治体職員が参加して実演した結果を報告書に盛り込み、「障害のある人と周囲の人をつなげていくことが重要だ」と提言した。